【柔軟なデザイン】
制作者:ふじわらかつひと
柔軟なデザイン

先日、スーパーモデル、ケイト・モスのヌード肖像画がロンドンのオークションで、 393万ポンド(約7億7200万円)で落札されたらしい。 こんなニュースが流れると、 「美術って金になる」とか「俺もいつかは!」とか 思うヤカラがいるんじゃないかと心配になる。
そんなに儲かるか?美術?

先日の展覧会のときに、学生と話していたら、就職せずに作品を売って 生活していくつもりみたいなことを言っていて「はぁ?」と思った。 純粋に美術作品の制作だけで生活できてる人なんて何人いるだろう。名の売れてる人でも 大学の教授をしていたり、なにかの協会員みたいなことで別の収入を得ている人が 多いと思う。
きっと「美術作品だけ」の人はプロ野球選手より遥かに少ないと思われる。 自分は美術の中でプロ野球選手レベルの位置にいると思ってるのか?「コレクターが 買ってくれるかも」なんて思ってるのかもしれないが、毎年全国の何校もの 美術系学校から何千人(何万人?)という卒業生が生み出され、作品を発表しているのに、 それらを全部食べさせていけるほど美術コレクターっているのか? まず、自分が他人の展覧会に行って、美術作品を買ったことがあるのか?自分が 買ったことも無いようなものを作って生活できると思ってるのか?
甘い!とにかく甘い!

我々も展覧会の時には値段を付けているが、売れないね、そりゃもう露天で売ってる水で 膨らむ怪獣の方が売れてるだろうと思うもの。 特に我々の作品は見た目が工業製品や雑貨に見えるから、すっごく安く買えると 思われるらしく、価格を聞かれて答えると
ちょっと驚かれます。 そりゃさ〜 一個一個作ってんだもの。
たとえばこの「柔軟なデザイン」。制作手順をざっくり説明すると
まずヤフオクでこの携帯のモックアップ(展示用モデル)をゲット。
→ゴム型を取るため、箱に入れて粘土に半面埋める。
→離型済を塗って、シリコンゴムを流し込み固める。
→半面が固まったら、裏側から粘土を取り出し、離型済を塗ってもう半面も シリコンゴムを流す。
→出来上がったゴム型に注型用樹脂を流し込む。
→硬化途中の樹脂が柔らかいうちにゴム型から取り出し、ぐいっと曲げる。
→固まったら、樹脂の気泡をパテ埋め。表面処理。
→塗装。今回はボタンのグリーンから。似た色を調合してまず塗る。
→ボタン部分をマスキングしてシルバーを塗る。
→シルバー部分をマスキングして黒を塗る。
→マスキングして液晶画面部分にスモークブラックを塗る。
→マスキングして液晶画面部分のフチに黒を塗る。
→着信ランプ部分に乳白色を塗る。
→ボタンの数字等の表記のデカールをつくる。(今回は他人に依頼)
→デカールを貼って、はがれないようにトップコートを塗る。
とまぁこんな要領でやっとひとつが完成する。
とにかく手がかかる。
今回は数万円の値段をつけていたが、原型製作会社などに発注すると10数万はかかるだろう。

ちなみに二等兵作品には値段のつけ方があって、
1.手を動かした時間の時間給(同年代の平均年収から算出)
2.実費(材料費、運搬費等)
3.クリエイティブ料(アイデアなどを含め、作品の価値に対する対価)
の合計に画廊の取り分を加算して決定しています。 まぁどうやっても雑貨のような値段にはならないのですが・・・。

長々と書いていたら途中で口調が変わってたりしますな。
次回展覧会ではぜひご購入を!

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