【かんチガイパワー】
制作者:籠谷シェーン
かんチガイパワー

今回の大震災で、15年前の神戸の震災の事をいろいろと 思い出しました。地震の後、1週間後くらいに阪神電車が 芦屋駅の少し先の青木駅まで開通したので、JR兵庫駅近くに 住んでいる被災した大学時代の友人のもとへ東京から帰っていた ふじわらと二人でお見舞いに行くことにしました。
もちろん青木から兵庫まで徒歩だったのですが、大体5時間ぐらい かかったと思います。
あんなに休み無しであるいたのは、後にも先にも これが初めてでした。

道の左右は崩れた家々。がれきの山が延々と続きます。屋根が曲線を描いて
崩れていたのを見て「家はこんな風に壊れるのか…」と変なところに 関心したりしました。
一階がベンツのショールームのビルは、ダルマ落としの様に 上階部分が落ちていて、
下敷きとなったぺしゃんこのベンツのテール 部分が隙間からはみ出していました。
埃っぽくて、なんとも言えない 匂いが混じる中、あまりの 非現実的な状況に、
夢の中で「これは夢に違いないっ!」と思い込もうと するような
感覚に近い錯覚を覚えました。
あちこちに貼られた紙には「○○に避難します」や「○○、これを 見たら電話ください」
といったメッセージが書かれていて、 いつもなら冗談ばかり言い合う2人ですが、
さすがに口数が少なく なっていました。
友人にお見舞いを届けると、帰りはハーバーランドから天保山に 船が出ているとの
ことなのでそちらへ向かいました。そこではまだ オープンしてそんなに経ってない
ショッピングセンターや海辺のテラスが 無残なかたちで現れ、疲れた体に更に追い打ちを
かけられさすがにゲンナリ。 帰りの船の中は、同じように物資を届けた帰りの人や、
避難する人で さながら引き揚げ船のようでした。
梅田に戻り、四ツ橋の焼売太楼で晩飯を食ったのですが、海を渡って 異次元から
戻ってきたような、本当に不思議な気分でした。

今度大きい地震が来たら、何を持って逃げるかな?そう考えたときに 普段は色々と物に
執着していたはずなのに、すごくシンプルなものだけで いいか、と思うようになっていました。
ただ、人間の恒常性なのか 僕がたまたまそうなのか、数年もするとそんな気分も
元に戻って いたのですが…。

さて、とりとめの無い話を長々とすみませんでした。その震災の年の 秋にやった展覧会が「かんチガイパワー展」でした。まったくもって いつも通りのニュアンスの展覧会で、天使がサブテーマになっていたのが 少しは震災の影響?かと思ったりします。「かんチガイパワー」というのは ちょっとかん違いしてるのにものすごいパワーで突き進む人がいる。むしろ、 かん違いしている人の方がパワーがあるように感じる。そんな「かん違いパワー」 が
存在することを伝えたかった展覧会。

もしかしたら今、そんなむやみでも前向きなパワーがあれば復興の 一助になるのではと
思っています。ポジティブな意味で。
今月はそんな「かんチガイパワー」を図解したものを紹介します。

この度の東日本大震災で被災された皆様にこの場を借りて謹んで お見舞い申し上げます。
一日でも早く復興し、「ああ、二等兵とかいうのあったな。」と思いだして このサイトや作品で脱力してもらえるような日が又来ることを願ってやみません。


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