「3mの宇宙人」

昨年の個展の案内に「2026年2月、『現代美術二等兵』の作品集を刊行予定です。」と
記載していたのですが、のんびりしていたら次の個展が近づいてきました。
「どうせならここまで載せよう」とか思っていたら、予定より遅れてしまいましたが、
ちゃんと進行しています。
この「月刊駄美術図鑑」を一挙にまとめたものでKindle版と
印刷したペーパーバック版の2種になります。
編集の方とページレイアウトをやりとりするときにpdfデータで
送っていただくのですが、pdfを開くたびにPCが
「これは長い文章のようです。AIアシスタントを使用し、要約できます。」と
おせっかいなことを言ってくるのです。
ええ長い文章ですよ。しかもだらだらと毒にも薬にもならない意味のない文章が
ずらり。
あまりに毎回言ってくるので一度要約してもらいました。
「この文書は、現代美術におけるアーティストの声や活動を記録し紹介する
ギャラリーやアーティストブックシリーズ『VOICE』と『駄美術』の概要と
背景について述べた内容です。」とのこと。
へえ~と思っていると そこからずるずるちょっとずつ文章が増えて、結局
A4用紙3枚にびっしり要約が表示されました。
「クリエイティブと社会観念」「装飾・デザインと工夫」
「創作の特徴とテーマ」などいろいろな項目をあげて重複したり
行ったり来たりしながら、まあまあ的を得た要約をしてくれました。
すごいね AI!
それでも個人的にはAIの使用には懐疑的。できるだけあらがっていきたいなと
思っております。
で、今月の作品は「3mの宇宙人」。
ウェストバージニア州で目撃された宇宙人が高さ10フィート(3.05m)もあって、
日本では「3mの宇宙人」と呼ばれています。
金物屋さんで小型の3mのメジャーを発見したんで、これをぬいぐるみに
入れて「3mの宇宙人」を作ろうかなと考えたものです。
正確には「3m測れる宇宙人」か…。
こんな意味の無い作品もAIはがんばって読み込んで要約してくれるのでしょう。
というわけで、作品集は2026年12月発売予定です。
「期待と現実」

普段は一般企業でパッケージデザインの仕事をしています。
パッケージデザインは中身を分かり易く伝える事がもちろん大事なのですが、
それを見たとき如何にして消費者の期待を膨らませるかが重要な機能だと
言えます。それを見ただけで「凄く美味しそう!」とか
「めちゃくちゃ効きそう!」等と、消費者の心を動かすにはどうすればよいか
日々苦心をしています。ただやりすぎると誇大広告のようにとられて反感を
買ってしまって炎上したり、ヘタするとお上から指導を受けることになります。
僕が子供だった昭和の頃はそういったやりすぎパッケージも多く、期待を
裏切られまくりでした。
駄菓子屋なんかに行くと、高級食材を用いたかのような紛い物の
スナック菓子や、1等賞はやたら豪華なくじ引き(ほぼ当たらない)等々、
子供の欲求を惹きつけては膝をカックンさせる商品のオンパレードでした。
駄菓子屋で売っていたプラモデルなんかは特に酷く、そもそもがキャラクターの
偽物なうえに、中身は箱絵とは全く違うお粗末な造形のものだったり、
2段階でがっかり感を味わう羽目になるものばかりでした。そう思うと、
最近ご縁が出来たタミヤのプラモデルなんて誠実そのものでパッケージも
中身も期待を裏切らない、素晴らしいものですね!などとヨイショを
かましてみました。
さて今月の駄美術は「期待と現実」。
そんな昭和のパチものプラモデルのパッケージを作ってみました。
巨大化したワニが大暴れで街を破壊している様子が描かれたパッケージ。
中身は仔ワニのはく製と適当なビルのみ。昔のこんなパッケージデザインも
逆に考えると、しょぼい中身をいかにより良く見せるかに振り切過ぎた
制作者の良心が突き抜けたなれの果てなのかもしれないですね。
「夏のプラモデル」

こないだワンフェスに行ってました。
「ワンダーフェスティバル」という造形とフィギュアのイベント。
個人がスペースを借りて自作の造形物を販売するというコミケの立体版のようなものです。
私はここ数年は1/35スケールの恐竜や古生物の骨格を作って販売しています。
以前は粘土やエポキシパテでせっせと原型をつくっていたのですが、数年前から
3Dモデリングしたものを3Dプリンターで出力しています。
この老体でさえそんな感じなので、他の方々も当然デジタル造形へと移行しており、
今まででは見られなかった表現が展開されています。
どこを見ても驚愕する作品ばかり。みんな凄いね。
そんなワンフェスは夏冬の年2回。
ほんとに暑かったり寒かったりでディーラーも来場者も大変。
特に来場者の方はお目当ての作品を買いたくて入場前に何時間も並んだりするので
この酷暑は厳しいと思う。お気を付けて。
さて今月の作品は「夏のプラモデル」。
数年前に平面作品としてレトロ印刷でつくったものを
3Dモデリングで立体化しました。
3Dモデリングが少し出来るようになってもこの程度。
いつか凄いものが出来るといいね。と他人事のように願っております。
「決戦はお神輿で」

株式会社タミヤ様協力のもと京都を皮切りに東京、静岡へ巡回した
グループ展「藝プラ展」が先月好評のうちに無事終了しました。
何度も書いていますが、このような形で幼少の頃より親しんできたタミヤと
接点が持てるとは夢にも思いませんでした。
関係者の皆様、本当に有難うございました。過去、1/35の戦車や
ジオラマ制作にチャレンジしては中途半端に終わっていたのですが、
今回これまでの駄美術制作の経験と技術を生かし改めて全力でジオラマに
取り組みました。1/35といえば戦車や兵隊のプラモデルが
メインアイテムなのですが、子供の頃に見たジオラマのテーマは
第二次世界大戦、その中で兵士が休息をとっていたり、大戦末期の
ドイツ軍の悲哀を描いたものが多く見受けられました。
確かに命の取り合いをしている様子を再現するより、その中であっただろう
平和な瞬間を切り取って、そのシーンをジオラマ化したくなるのは
分かる気がします。
では改めて、自分ならどんなジオラマを作ろうか?となったとき、
逆に真剣に戦っている状況且つ、どこか馬鹿馬鹿しいものにしようという
方向はわりとすぐに決まりました。
今世界では終わらない戦いが続いています。
もうどちらも後に引けない状況なのでしょう。
それならば、こんなかたちで決着を付けたらどうか?という事で戦車型の
けんか神輿でぶつかり合っているジオラマを作りました。神様の前で神輿を
ぶつけあうドイツ軍と旧ソ連軍。神輿を降りて喧嘩をおっぱじめる連中も。
作っている最中も、そして出来上がってなお妄想が加速する体験を
久しぶりにした気がします。これはジオラマの地平を確実に
広げたのでは!と、これまた妄想が加速するする「馬鹿ジオラマ」。
皆さんもぜひチャレンジしてください。
「流しのそうめん」

また昭和歌謡の話でなんなんやけど、榊原郁恵ちゃんの「夏のお嬢さん」の
歌いだしの「チュウチュウチュチュ」ってなんなんやろな。
「ビキニがとっても似合うよ」って話しかけてくる男が
「チュウチュウチュチュ!」って言いながら近づいてくるの怖くない?
タコ型の火星人の姿が浮かぶんやけど…。
擬音語でも擬態語でも英語でもないみたいやし なんやろな。
かといって違う言葉がハマるかっていうと全く浮かばん。
「チュウチュウチュチュ」のパワーがすごすぎる。
AIに作詞させてもこんな歌詞 出てけーへんやろな。人間おそるべし。
さて今月の作品はさらに古い時代を表現した「流しのそうめん」。
居酒屋なんかにギター1本で現れてリクエスト曲を歌ってくれる“流し”を
やってるそうめんです。
「そうめんです。」ちゃうか。なにを言うてるんやら。
こんなことじゃ「チュウチュウチュチュ」には到底 勝たれへんなあ。
「威嚇する招き猫」

5月!GW!という事で昨年末からやると決意していた作業場という名の
物置の大掃除を敢行しました。おかげですっかりこの原稿を書くのを
失念してしまい、連休明けの更新となってしましました。
この2,3年ずっと作業場を片付けねばと思いつつ、ちょっとだけ段ボール箱を
動かしてやった気になっていましたが、いよいよゴミ屋敷の様相に
なってきて地震が起こったら間違いなく生き埋めになると確信し行動に
移した次第です。
買ったのは良いが使わなかった布等の素材や、無くしたと思って何回も
買い直した接着剤や工具など、あまりに古い物は思い切って捨てる事に。
ただそれだけでは大した量ではないので、劣化した作品や正直誰も
覚えていない作品、とくに縫いぐるみ系等の嵩張る作品を思い切って
袋に入れてクリーンセンターへ持ち込みました。クリーンセンターの
職員さんに「これは燃えるゴミになりますか?」と怪しげな作品や素材
を見せて確認しつつ、内心「これは何?」と聞かれたらどうしよう…、
「作品です!」と答えるのも恥ずかしいなあ、と思っていたのですが
意外と何の反応もなく、てきぱきと「これは不燃ゴミ、こっちは燃えるゴミ」
と指示され、言う通りに巨大なコンテナに素材や作品を放り込みました。
もともと作品だったものも、捨てる段になると「駄美術」だったものも
今はもう「ゴミ」でしかないのかあ、とちょっと寂しいような気もしましたが、
実際袋に詰めたそれらを勢いよくコンテナに放り込むと意外な爽快感も
あったのも事実。よし、作業場もすっきりしたし、心機一転どんどん作ろう!
と前向きになった次第です。
ヘタするとゴミと表裏一体の駄美術ではあるのですが…。
で、今月の駄美術は「威嚇する招き猫」。猫って恐怖を感じたときや、
威嚇するときに通称「イカ耳」と呼ばれる耳を後ろに反らせる動作を
するのですが、同じ猫なので招き猫にイカ耳をさせてみました。
個人的にはよくできたなあ、と悦に入っていたのですが、出来れば数年後に
ゴミになっていませんようにと祈るばかりです
「モンサンミッシェル茶漬け」

この歳になってくると奇をてらったものより
やり慣れたやり方や使い慣れた素材なんかで作ることが
多くなってきた。
やり慣れたというより「好きな」「プラモの改造方向」に
シフトしてきた感じ。
スペースの問題で巨大なものは作りにくいし
机の上でこまごまとプラ板を切っているのが楽しいのです。
たまたま昨年プラモメーカータミヤさんとのコラボグループ展に
呼んでいただけて、ここぞとばかりプラモを改造しまくりました。
や~楽しい!ありがたい!
駄美術作品以外でも趣味でプラモを作るんですが、
タミヤさんの影響もあって1/35スケールという縮尺にこだわってます。
戦車や兵隊さんは膨大な数あるので、「非ミリタリーの1/35」という
しばりで集めています。
ガンダム、ダンバイン、パトレイバー、ダグラム、海外映画モノなどなど
あらゆるメーカーがあらゆる1/35プラモを展開してくれているのです。
最近はそれだけでは飽き足らず、「1/35」と書かれていなくても
「これだいたい1/35じゃね?」と似たサイズの商品も集める始末。
それらは「うっかり35」と呼んでいます。個人的に。
たとえば昔販売されていたエイリアンのパワーローダーの食玩は
画像を測ってみたところ乗ってるシガニー・ウィーバーがバッチリ1/35!
シガニー・ウィーバーって182cmもあるのねと驚きながら
メルカリで即購入。
場合によっては買ってから「あ~ちょっと大きかったか~」と
いうことも。まあだいたい1/35ということで。
さて今月の作品は「モンサンミッシェル茶漬け」。
以前、本当のご飯とお茶漬けのりで作ったのですが、個展展示用に
プラモで再制作。
実は実在の商品で「おにぎり」のプラモや「寿司」のプラモがあって
米粒ひとつひとつがパーツになっているものがあるんです。
それを使い、あられや塩は紙粘土で作って展示可能の茶漬けを
作ってみました。あくまでプラモの延長って感じですね。
さあ今夜も「うっかり35」を探してメルカリを徘徊だ!
「戦場のメリークリスマスツリー」

今月紹介する作品は「戦場のメリークリスマスツリー」。去年の年末の個展で
出品した作品なのですが、制作したのは約10年前の2016年でした。
現代美術二等兵としてではなく、普段の仕事のパッケージデザイナーの
グループ展用に制作しました。
グループ展のテーマが「クリスマス」で、いつもなら駄美術的な解釈で
制作してたのでしょうが、2016年はI Sによるテロやシリアの内戦等、
きな臭いニュースが続発してなんだか笑えない気分もあり、
ちょっとセンチメンタルな作品を作ってしまいました。
男の子の多くは子供の頃は何故か剣や銃のような武器のオモチャが好きで、
本能的なものだとしても願わくば、オモチャ止まりで実物を振り回さないで
いて欲しいなあ、という思いからオモチャの銃でクリスマスツリーを作りました。
使用している素材やタイトルが「戦場のメリークリスマス」に
ひっかけているところはいつもの駄美術テイストなのですが、展示した当時は
見る人によっては社会派的なメッセージ性のある作品と捉えられた記憶が
あります。個人的は当時の世相の影響は少しあるのですが、発想の端緒になった
程度でそこまでシリアスに考えていた訳でもなかった気がします。
ではなぜ去年の個展に展示したかというと、その他の作品が割と小さいものばかりに
なりそうで、大きめの作品を作らねばと焦っていたところ「この作品、まだ京都で
見せてなかったな」と思い出したからです。
今回も見て頂いた方によって、色々と作品のコンセプトを想像してもらえた作品と
なりました。
実は2016年はアメリカでトランプ大統領が誕生した年らしく、そして近頃
きな臭いニュースばかり耳にします。。。
「カカオ香るボトルシップ」

毎年年末に個展があって、それが過ぎると特に何もなく、半年くらい
のんべんだらりと過ごしてるんですが、なんか今年は忙しい。
渋谷ガチャガチャナイトというイベントにゲストとして呼んでいただいて、
お題に沿って作品を作るというのが2月6日。
ワンフェスという造形イベントに恐竜骨格モデラーとして
参加するのが2月9日。
王様のアイディア 阪神百貨店梅田本店POP UPストアに作品を
出品するのが2月15日から。
京都の創作現場の変化を体現するグループ展が2月21日から。
オビツ製作所のキューピー人形を題材にしたグループ展が3月13日から。
と、年明けからバッタバタ。
すでに巡回している「ガチャガチャ展」も2月6日から六本木ミュージアムで
始まったり、本職の仕事の方もけっこう忙しかったり、例年にない繫盛ぶり。
しかも冬場ってどこに行っても寒いし、パテや粘土の乾きが遅いし、
布団から出たくないしでなかなかはかどらんな。
映画も見たいし、おもしろい本もつぎつぎ発売されて読みたいし、
身体がいくつあっても足らんなあ。
まあひとまず寝よ。おやすみなさい。
とりあえず今月の作品の紹介を。
「カカオ香るボトルシップ」。
アルフォートって帆船がレリーフされてるんで、瓶に入れてみようかと。
現物を3Dスキャンして、軟質の素材で3Dプリントしてみたものです。
個展で展示しましたがまあ話題にもならず。
では おやすみなさい。zzzzz…
「のしイカピンバッジ」

2026年になりました。新年明けましておめでとうございます!
現代美術二等兵も昨年は気付いたら活動33周年。駄美術もだらだら続けてきたお陰で、
いろんな場所に行けたり、凄い人に会えたりと振り返れば意外と充実した33年でした。
2025年の個展では33周年企画として、現代美術二等兵がインタビューや連載エッセイなどが
掲載された雑誌も展示してみました。昔掲載された油まみれの雑誌の切り抜きを自慢げに
壁にベタベタ貼った街の中華料理屋みたいでどうかなあと思いつつ、年々小さくなっている
作品のせいで目立つ空きスペースを埋めることができました。ってアカンがな!
作品数が少ない事のごまかしやんかっ!と心の中で叱咤する毎度のパターンです。
10数年前の雑誌インタビューも読み直すと、この前どこかのレクチャーで話した内容と
全く同じで、本当に進歩していないことに驚愕しました。ある意味、芯がブレてないと
言い換えて考えない事にしましょう。歳をとるとこういう屁理屈だけ達者になりますね。
さて今月の駄美術は「のしイカピンバッジ」。
熨斗とイカが合体したおめでたいピンバッジです。イカ部分は何となくこんな感じかなと
記憶をたよりに樹脂粘土で作成。足は水引にして慶祝感を全面に出しました。
ガチャガチャイベントでプレゼンし、めでたく来場者の人気No.1になったのですが、
足が水引ではカプセルに入るわけも無く。もちろんガチャガチャ化の話もありません。
今年もこんな感じで気負わず、どこかヌケつつ駄美術を作りますので何卒よろしくお願いいたします。
