月刊駄美術図鑑 2010

「かがみ餅」

ついに今年の大河ドラマ「龍馬伝」、終わりましたー!
いやー、感動感動。しかし皆ええ芝居するよねえ。福山が あんなことやこんなことまで。
久しぶりに見ごたえのある テレビ番組やったね。ありがとうNHK!受信料分堪能したわ!

って、ウソです。まともに一回も見てません。見たくても 子供が見たがるイッテQなんぞを
嫌々見ておりました。昨日の龍馬伝見た?などと盛り上がってる人を見かけると
正直うらやましいです。しかたないので脳内で勝手に俺流龍馬伝 全36話を
エンドレスで再生します。武田(鉄矢)龍馬で。

しかし日本人は坂本龍馬好きですな。僕も高校の頃文庫本で 「龍馬がゆく」を
読んだのですが、そんなに感情移入できるか といえば、実はあんまり内容を
覚えてなくって、実際に、 具体的に何をした人なの?というのが
いつも思い出せない 偉人の一人です。
もっと分かりやすい手柄があればなあ、 と思ったりするのです。

で、今月の駄美術「かがみ餅」。その名の通り、餅がかがんで おります。
目で見て、脊髄で反射的に理解!みたいな感覚に なりませんでしょうか。
ただ、分かりやすい=良い作品 という訳ではないと、己の作品を見て、
思い知らされるのでした。


「桂浜バージョン」

珍しく展覧会の解説をば。
毎年秋に京都で新作展をやっています。 今年のタイトルは「嗚呼!改造彫刻ヴィーナス」。
そう!あのミロのヴィーナスを モチーフにしたアレンジ大喜利です。

思い起こせばヴィーナスネタは1994年からやってます。 SINCE 1994です。
もうライフワークですね。

こんな偉大な名作も 我々の手にかかれば なんのことはない雑貨オブジェへと 大変身。
おそろしいものです。

ちょっとゾンビカラーに塗ってみたり・・・
ちょっとジオングの腕を付けてみたり・・・
ちょっと福耳にしてみたり・・・

その軽い「ちょっと」の気持ちが こじあける駄作への扉。 オープン ザ ドア! 

しかもこの作品は大河ドラマを意識して、竜馬の像へと変化させています。
名作彫刻と人気ドラマのコラボレーションは 駄作の真骨頂となりました。


「紅葉狩り」

狩猟民族と聞くと、食料を得るためにケモノを槍や石器を 用い捕獲する人々を
イメージします。太古の勇猛な人々が 例えばマンモスなんかを取り囲んでいるような、
子供のころ見た 図鑑に載っていたイラストを思い出します。
「狩りをする」という言葉は、現代のイメージで想像しても ライフルで鹿やウサギを
撃つという、動物大好きな僕からすると 少々可哀そうな光景が真っ先に思い浮かびます。
で、日本でもイノシシ狩り、鹿狩り等、そんなハンティング としての意味の狩りはもちろん
あるのですが、一方で 「みかん狩り」「潮干狩り」といった、ただ収穫するだけの
行為なのに「狩り」という言葉がつくものがあります。
どうも「狩り」とい言葉に野蛮さを感じる僕には、これら の呑気な風物詩のネーミングに
「狩り」という言葉を使っていることに 違和感を感じざるを得ないのです。
出来ればみかんを銃で、アサリを地雷で一網打尽に狩って
もらえれば納得するのですが。

さて、今月の駄美術「紅葉狩り」。これなんかその最たるもので 実際「紅葉」を
鑑賞してるだけなのに、「狩り」って・・・・・
その違和感をありのまま再現したのがこの作品です。
紅葉型の猛獣をライフルで狩っている、そんなシチュエーション。
これこそが「紅葉狩り」のあるべき姿ではないでしょうか。


「モバ山水」

近頃はなんでも簡単に手に入りますね。

マクドナルドでポケモンのデータを配信したりするんですが、 これが 貴重なポケモン
ばっかりで、昔は入手するのに 抽選に申し込んだりとか、イベントに並んだりとか、 かなり
苦労したんですが、今はドリンク片手にほいほいと 入手できます。
で、そんな風に簡単に入手したものは 特に思い入れもなく なにに使うでもなく、ああ
入手したなと 納得するだけでどこかに 行ってしまうのです。 

テレビ番組もHDにいくらでも録っておけるし、録り忘れても
ネットに誰かが上げてくれたりして たいがい見ることができます。

スーパーマリオにもお助け機能がついて、進めなくなったところも 自動で勝手に進んで
くれたりするそうで…。

いろんなものが簡単に入手できる分、達成感が失われていっているように 感じます。

でも んなこと言ってると
そのうち 簡単に達成感を得られる機械とか出てきそうですね。

さて今月の作品は「モバ山水」。
過去の人々の英知とセンスの集大成を気軽に持ち歩いて、癒し効果だけ
ちゃちゃっといただいてしまおうというもの。

簡単に癒しは得られますが、その量は微々たるものです。

「13日の金太郎」

40歳前後の僕らにとっての夏休みの思い出と言えば TVでの怪談番組や心霊写真の
特集番組なんかは結構 トラウマ的に焼き付いてますよね。怪談も稲川淳二時代より
少し前で、再現フィルムなんかがもう凄く怖くて、まじで夜中にトイレとか行くのが
怖かった記憶があります。
あと、心霊写真なんかも多分偶然そう見えただけなんだろうけど 子供の遠足の
集合写真の後ろに悲壮な顔が写っていたり、腕が切れて写っていたり、海水浴なんかの
写真で、頭に包丁が刺さって写ってるのがあったりして、今思い出しても
チビりそうなのが多かった。で、心霊研究家とかがそんな写真を鑑定して
「これは地縛霊です。」「浮遊霊です。」とかバッサリ言っていくのが毎度のパターン。
「他ないんかいっ!」と思ったくらいのワンパターン。
まあ「怨霊です。」とかは言わんわね。
しかし最近ではそんな心霊写真番組も少なくなりましたね。
確かに今の画像処理技術だったら、素人に毛の生えたレベルの人でも心霊写真って
作ることも出来るし、そう思うと全部捏造な気もしたりして、今の子供たちは
心霊写真なんてあまり信じてないのかも 知れませんね・・・・。

で、今月の駄美術「13日の金太郎」。まあ、見たままです。手にはマサカリ 顔には
ジェイソンマスク。身の丈ほどあるマサカリを振り回して襲われた 日には、もう・・・・。

「観賞用シーラカンス」

こないだ友達とファーストフード店に行ったら 短い時間の間に 店側のミスが3つもあった。

・LLセットで頼んだのに MMセットで通ってて  あとで差し替え 料金追加。
・特典のグラスを 僕は持ち帰りの袋に入れてくれたが  友人は むき出しで 手渡された。

で 3つ目は 
ベーコンレタスバーガーにベーコンが入ってなかった!
ちょっとレタス多目の チーズバーガーやん。
温和な僕も 珍しくクレームつけてしまいました。普通か。

単純に他のバーガーと渡し間違えたのかと思ってたら
ほんとにベーコンを入れ忘れてたって。。。 なんかスゴイ。
それがメインやん。アイデンティティやん。

もちろん人がやってるんで ミスはあるんやろうけど
ふたりに対して3つのミスってことは 一日あたりどんだけ ミスっとんねん。

ミスがないようにシステマチックになってるファーストフード店でさえ こんな感じですから 
なんかプロのレベルが下がってきてるなあと 感じます。
もっとプロ意識を持って欲しいですね。

さて今月の作品は「観賞用シーラカンス」。
金魚や錦鯉は 人間が手を加えて改良・養殖してきたもので、
鑑賞するという娯楽のために 生物の形状自体も変えてしまうという
神をも恐れぬ行為によって 生み出されてきたのですが、
今後は もっといろいろな生物にその触手が広がっていくのでは ないでしょうか?

こんなものを作ってる僕らは アマチュア街道まっしぐらですけど。。。

「妄想POP」

NHK教育で朝やってる子供番組「みいつけた!」を息子とよく 見ています。
その中で風呂が大好きな「オフロスキー」という キャラクターが出てきて毎回テレビの前の
ちびっ子に向かって いろんな事を話したり遊びの提案をするのですが、
この前こんなことを言いだしました。
「ねえ!馬にのろうよ!大丈夫、ほんとに乗るんじゃなくて、つもりだけ。
つもりならなんでもなんでもできるよ!」とおもむろに「パッカパッカ」と言いながら馬に
乗ってるつもりのジェスチャーをおっぱじめました。
そしてそのあと、オフロスキーはゾウに乗ったりチーターに乗ったり と「つもり」乗りを
満喫したのです。 僕はこのとき思わず小さいうめき声をあげてしまいました。感動で。
そやねん!「つもり」やったら何でもアリやねん! 大作家の「つもり」、作品も
名作ぞろいの「つもり」etc・・・・

さて、みみっちい話の後はビッグな今月の駄美術「妄想POP」。
全長が3m近くあり、僕の作品のなかでは最大級のものです。 展示会のバナーのような
作品は大きく「歓迎ベネチアビエンナーレ」 などと。書いています。
「どこがベネチアやねん!」というお叱りも ありましょうが、ここはひとつオフロスキー的に
「つもりなら 何でもアリだよね!」という訳で、お許しください。

「クマ型キャンバス用額縁」

7年ぶりくらいに 携帯電話を替えました。
なかなか気に入ったデザインが出なくて ず~っと待ち続けてたのですが、
その間に時代は流れ、現行機とのギャップが大きくなってきてしまったのでした。

使い続けていた機種では他人から送られてくる添付画像が大きすぎて
開けませんでした。いちいちPCに転送して確認してました。
デコメも非対応。デコ部分と本文がバラバラにくるので「はは~ん ここにこの絵が
入ってるんやな。」と推測して見てました。
QRコードも読めず、ワンセグも見れず、音楽も聴けず・・・。さすがに 
つらくなってきて機種変更をしたのでした。

でもこれだけブランクがあいていると もう浦島太郎状態で新機種の扱いが
さっぱりわかりません。
分厚い説明書も最初はマジメに読んでましたが だんだんだるくなってきて 後半飛ばし読みです。

とにかく機能が多すぎる!
ワンセグで 番組さえ見れればいいのに 画面上にいろんな表示やマークが出てる。
ええねん 普通に見して~や。 こんな機能 全部使う人がおるんかな?

う~ん ハードとソフトの開発のバランスが悪いように思います。

さてさて 今月の作品は「クマ型キャンバス用額縁」。
“クマ型のキャンバス”の為の 額縁なんですが、 そんなキャンバスはまだ見たことがありません。
中身と外見の開発バランスがめちゃくちゃです。

「96年限定モデル」

「限定品」とか「限定モデル」とか言われても最近は
そんなに胸がときめいたりすることが無くなりました。
決して物欲が無くなったわけでもないのですが、この歳になると
「マーケティング戦略に踊らされてたまるか」とか、「日本人は
限定品とかに弱いのう」とか、ひねくれた気持ちが先に出てしまうのです。
では若い頃はどうだったかというと、限定とかレアものとか希少価値 という言葉には
ビンビンに反応してました。
そういう物は買っておくと何年後に価値が上がるとか本気で信じていたのです。

実家にいくつか限定コインとか金貨とかがあったのですが
よくよく考えると、仮に多少価値が上がったとしても、
実際買取値 ではマイナスになりそうだし、それよりもそんなものを本気で
欲しがる人が増えるようなブームなど来る気もしないのです。
そんな風に限定品とか一点モノに対してドライな気分でいるので
自分の作品も欲しがる人がいればよほど面倒でなければ
何度でも作りますし、そういうこと対し後ろめたいという感情は
ほとんど起こらないのです。こんなこと言ってるから、
作品の 単価も上がらんのかもしれませんね。

で、今月の駄美術「96年限定モデル」。ちょうど15年前、ナイキから
エアマックス95というモデルのスニーカーが出ていて、爆発的に
売れ、プレ値で取引きされるほどで、履いてる人を脅してスニーカーを
奪い転売するという「エアマックス狩り」などという物騒な事件もありました。
この作品はそんな社会現象があった次の年、作品発表しても全然日の目を見ない
僕たちでしたが、作品もエアマックスみたいに今年の限定モデル!
みたいな煽りを加えたらもしかして売れたりして…などと下心丸出しで作りました。
エアとか言うので、空気を送る扇子にナイキマークをあしらった
日本人の好きな限定品、日本人の好きな和風デザインイメージのシンプルな作品です。
毎度のことですが、売れるはずもなく、現在家のどこにあるか不明の
まさしく空気のような作品です。

「スカッシュ組曲:貸しラケットあります」

アバタ~ 変わりは ないで~すか。
アバタが噛んだ小指が痛い。
アバタはもう忘れたかしら。

と 巷では アバター アバター いうとりますな。 うん 確かにスゴイ。スゴイわ。
今の子供たちは こんなもんを見て 育っていくんスね。 これが基準かあ…。

俺らが子供のころは「ハウス」の人食いピアノでびびったり、シェリーの
「オズの魔法使い」の赤青の立体映像で 驚いたりしたもんですが…。

なんでもCGでつくれてしまうと、何を見てもありがたみがなくなるように思います。
どうせCGでしょ と。

リアルなCGのない時代の「仮面ライダーV3」なんて 実写だから火薬の量が
ハンパじゃない。もー 大爆発ですわ 俳優のすぐ横で。
煙突の上でミエ切ってたり、がけの上で戦ってたり、ほんとに今見ても
「危ない~っ!!」って 叫んでしまいそう。

今の子供たちはそんなもの見ても 「どうせCGでしょ」って感覚で
驚きもしないんでしょうか。

子どもっつーのは「まんが日本昔ばなし」や「一休さん」で育ってほしい。
今はその手の話はどこから聞くのかなあ。

そうそう 一休さんで思い出しましたが 我々も展覧会が近づくと “とんち”で
やりすごうそうとすることがあります。
いかに時間をかけずに作品をつくるか。作品に見せるか。

今月の作品「スカッシュ組曲 貸しラケットあります」も まさにとんちの極み。
一部屋まるまるなにも置かず、スピーカーからスカッシュをしている音だけ
流しているという作品。
スカッシュのボールを打つ音と 靴音が 徐々にメロディを奏でて曲に
なっていくというもの。曲つくりはできないので、知り合いにお願いして
「アジアの純真」や「ラブマシーン」など微妙な歌謡曲をスカッシュ音で
つくってもらいました。

コンセプトのみで 自らはなにも作業せず 一部屋 埋めました。
まさに“とんち”ですね。
そのわりに意外と「最高傑作!」との声もあったりしまして。。。
ただ そこに行った人しか楽しめないというリアル感は展覧会の醍醐味です。
アナログ万歳!

「イヤンとヘブン」

空耳という訳でもなく、思い込みという程でもないのですが よくテレビでジャズシンガーの
綾戸智恵さんを見かけると 「あっ、上戸 彩や!」とつぶやいてしまうのです。
で、しばらくしてから「あれっ?上戸 彩ちゃうよなあ、 このオバハン・・・」と
気付くのですが、わりと毎度のように綾戸智恵を見て「上戸 彩!」と思っては
「あれー?」ということの繰り返し。間違いとわかっていても、ついつい
そうクセのように思ってしまうのです。
決して上戸 彩を見たときに「綾戸 智恵!」と思ったり しないのです。
一体なんなのでしょうか。ただの耄碌でしょうか。

さて、今月の駄美術は「イヤンとヘブン」。
この作品は10年以上前に作ったもので、正直何を思って 作ったのかよくわかりません。
京都で買ったお土産用の 番傘をペイントし「イヤン」と「ヘブン」の文字と、大漁旗 のような
柄のミスマッチみたいなことを思いながら ありえないお土産みたいなものを作りたくて
仕出かしたのかも しれません。「イヤン」という言葉と「ヘブン」という言葉 がはなんとなく
響きも似ていて、「いやよいやよも好きのうち」 という言葉ではないのですが、「イヤン!」と
言うくせに影では 「ヘブン(天国)…」など思ってたりして…などと妄想が膨らみます。
全然 上戸 彩の話とは関係ない作品なのですがー。

「アポロ計画」

いきなりですが、僕は無計画です。 年の初めなので なにか抱負とか考えてみようかとも
思いましたが まったく浮かびませんね。 二等兵の今後とか いろいろ思い描けばいいので
しょうが、 な~んの計画も無く、ただただ時間に流されています。

あ!
買い物のコースとか わりと緻密に考えたりして まめに 計画したりするかな。
このへんで信号が青になったら急げば渡れるとか覚えたり…。

いや ちょっと待てよ。
厳密にいうと計画は立てるのに ひとつもそれを実行できないって 感じですかね。

最近の展覧会の準備も あれもこれも造ろうと 資料や材料をそろえるところまでは
調子いいのですが、そこで安心してしまって そのあとまったく制作に
入らなかったりします。

お!
その残った材料を また別のものに利用できるように 計画したりすることもあるな。

まあ
というように なにもまとまっていないうちから 文章を書き出したりしている僕は
やはり計画性がないのでしょうか…。

 さて作品は「アポロ計画」。
昨年はアポロ11号の月着陸から40周年だったそうで、その記念で復刻されたプラモに
ストレートなカラーを塗りました。
ちなみにチョコのネーミングはこの月着陸船ではなく、指令船の形状から きてるそうです。

あ! そうそう 今年もよろしく。