「はにわマッチョイズム」
昭和のC Mでお馴染みの喜劇俳優・大村崑さんは80代で筋トレに目覚め、
93歳の現在ふくらはぎは筋肉でカチカチ、現在が過去最高の体だと仰る
のをネットで拝見しました。
元気ハツラツがいつまで続いとるねん!と突っ込みつつも、
崑ちゃんのそれは着衣の上からでも分かるくらい、50代後半で
だるんだるんの己の身体と比べるまでもなく若々しさが溢れて見えました。
亀は一生成長を続けるらしく、200歳まで生きるとされているゾウガメは
老化率が0との事。もはや大村崑さんは人間を超越しゾウガメの域に
達しているのでしょう。
地方に行くとごく稀に目にする大村崑さんのオロナミンCの看板ですが、
あれも50年以上前のものが生き続けていると考えると、
頭の中で「ダーウィンが来た!」というフレーズが鳴り響くのでした。
さて今月の駄美術は「はにわマッチョイズム」。
以前作ったイケメン風はにわ「はにわルッキズム」のバリエーションを
考えていく中で、ボディビルダーを目指したり、筋トレに励んで海辺で
マッチョな体を誇らしげに晒すのもルッキズム的なものか?と思い作ってみました。
「マッチョイズム」はたまたま見つけた言葉で、この作品にふさわしい気が
したので付けたのですが、本来の意味は筋肉がどうとかの外見の話ではなく、
前時代的な男性らしさを重視する考え方を指すらしいです。
けど「マッチョイズム」も突き抜けたその先はゾウガメに行き着くんですね!
「エンジェルポケット『ヴィーナスの誕生』」
最近特にトピックスが無いので、すっごい昔の話。
シンディローパーの武道館ライブを見に行った翌々日。
新幹線で大阪に行くときにホームにスーツ姿のガタイのいい外人さんが
大量にいて、何事かと思ったらその真ん中にド派手なおばちゃんが。
うわ!シンディローパーや!
ライブの2日後にこんな至近距離でまた会えるなんて!
しかも俺が乗る新幹線にそのまま乗り込んでいった。
もちろん車両は違うけど、同じ列車で同じスピードで移動してるんかと
思うとなんか感慨深いもんがあったわ。
ホームでもっと接近して「Hey Now Hey Now♪」と歌ったったらよかったな。
SPに思いっきり排除されたやろうけど。
シンディローパーは大の親日家でNHKの紅白に出たり、
ものまね紅白にご本人登場で出たことも。
災害時にはいつも支援してくれてます。ありがとうシンディ!
そんなシンディの武道館ライブが今年もあるで!
さて今月の作品は「エンジェルポケット『ヴィーナスの誕生』」。
これまた大昔のおもちゃ「エンジェルポケット」を改造してつくりました。
「ヴィーナスの誕生」ってパカっと開いた貝の中に立ってるイメージ
やったんやけど、見直したら貝の片側のへりに立ってて なんか違ったわ。
開いた貝からエンジェルポケットをイメージしたんやけど、ぜんぜん違った。
かわいくできたからまあええけど。
大昔と現代を行ったり来たり、タイムリーパーのような生活をしています。
「美術調はにわ」
若い頃、アクションペインティングがいまいち理解できませんでした。
仕上がった作品よりその過程や絵を描く行為を重要視しているとか。
美術館で飾っているアクションペインティングは作家にとってあまり
重要でないとか言われても、昔行われた行為をその時の空気感で見れる
わけでも無いし、仕上がったものも床に散らばった絵の具の跡みたい
で何が良いのか分かりませんでした。いかにも現代美術でございます!
みたいな佇まいに抵抗を感じていました。偶然性にまかせる表現の
作品は無責任なくせに分かる人にだけ分かればいいみたいな小賢しさを
感じて好きになれませんでした。
とは言え僕自身は自分の作るものに責任を取っていたわけでもないし、
雑誌のアクションカメラは大好きだったのですが。。。
さて今月の駄美術は「美術調はにわ」。
ゆるい造形の「はにわ」の上からアクションペインティングよろしく
好きに絵の具を垂らしてみました。昔あった「家具調こたつ」みたいな
紛い物感を「はにわ」に付加した作品です。
作っていてハッと気が付いたのですが、意外と作る過程が楽しい!
なんとなくこんな色目でまとめよう、とか考えつつ絵の具を自由に
垂らしたり、ペタペタと塗る行為が非常に気持ちよかったのです。
多少思うように仕上がらなくても全然OKといった感じで童心に
帰った気持ちになりました。
古の作家がアクションペインティングは作品より行為が重要、と
仰ったのはこういう事か!と勝手に納得したのでした。
多分間違った解釈かと思うのですが。
「瓶詰めアート」
今回はいきなり作品の解説から。
年末に開催した個展で在廊しているときに言われた一番多かった質問が
「どうやってビンにキャンバス入れたの?」
でした。
この作品「瓶詰めアート」のこと。
ざっくり言うと「ビンの中でキャンバスを組み立てる。」
なんですが、せっかくなので細かく説明すると
1.瓶に入るサイズのキャンバスを作る。(木枠は接着しない)
2.左右の木枠にキャンバスを釘で固定(担架のような状態になる)
3.新たな釘を頭の部分のみにカットしておく
4.キャンバス上下の釘を打つ部分に 釘の頭のみを接着
5.木枠の上下左右の接合部にマグネットをそれぞれ埋め込み、
磁力でキャンバスが保持できるようにする。
6.上下の木枠を外した状態で瓶の中に入れる
7.接着剤を塗った下の木枠を瓶に入れ、磁力で組み立てる
8.接着剤を塗った上の木枠を瓶に入れ、磁力で組み立てる
9.キャンバスを上下の木枠に接着
という感じで例によってそれなりに手間がかかっています。
ああ めんどくさい めんどくさい。
まあ普通にボトルシップを作っている人の方がすごいですけどね。
生成AIで画像ならいくらでも奇妙なものができますが、
実際の立体で奇妙なものを作るのを考えるのが楽しいんですね。
さて次はどんなめんどくさいものを作ろうかな~。
「アフターユースリース」
皆さま新年あけましておめでとうございます。駄美術作り出してお陰様で今年は33周年。
こんなにダラダラと作品発表を続けていた事実に正月から驚いています。何か他のことを
コツコツと続けていたらもっと何かを成していたのでは?と思ったりしますが、継続は
苦手なので多分他に何も達成しなかったことでしょう。
僕らがギャラリーで展示を始めた頃に生まれた赤ん坊が今では33歳になろうとしている
なんて、関係ないけど責任を感じたりします。
いや、全然そんな他人に影響を与えてはいないのですが、きっと世間の33歳は
僕なんかより優秀で立派な社会人になっていることでしょう。なんか仕事ちょうだい。
あっという間といえば今年も年末年始が一瞬で過ぎたような気がしました。
今年は秋も短かったせいもあるのと、自分が歳とったせいか1年の過ごし方に慣れて
しまって体感的に早く感じるのでしょう。浦島太郎の玉手箱も何も特別なことでは
ないのかも知れませんな。
さて、今月の駄美術は「アフターユースリース」。
クリスマスのあとは正月の準備かあ、と前のめりな考えをしがちな貴方のための
リースです。クリスマスが終わるとすぐに大掃除ができるよう、タワシや雑巾で
出来ています。さて、もう2025年ですがもう年末の33周年の展示何しょうかなと
既に気持ちは先走っていますが、現代美術二等兵個展「駄美術は今」の後半は
2025年1月8日(水)から12日(日)まで!ぜひぜひお運びください!